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(寝すぎてしまった)
だが、吐き気は無くなったようだ。これなら晩酌も出来る。加奈子は今迄苦しんでいた事も忘れて急いでスーパーに向かう。
(刺身と、冷奴と、枝豆)
食べたい物は完全にお酒のつまみだ。
(メンタルクリニックに行くまで一週間、最後の晩餐だ。飲んじゃえ)
加奈子は焼酎のサワーを買うと、つまみと一緒にスーパーの籠の中に入れた。
家に帰ると、冷蔵庫に買ってきた食料とお酒を入れる。
程なくして夫が帰ってきた。
「おかえりなさい。お疲れ様。直ぐに夕飯にする?」
夫は今日は土曜日出勤で会社に行っていたのだ。
「ただいま。疲れたよ。御飯食べようかな。夕飯は何?」
「今日は何だか疲れちゃっているから、ちゃんとした物を作ってなくて、それで刺身を買ってきたの。ビール飲むでしょ?」
「うん。お前は焼酎を飲むのか?」
「いつもの通り…ね」
夫は毎晩ビールを飲むのが習慣になっている。
「仕事、どうだった?」
「なかなか、上手くいかないな」
夫はビールをゴクゴクと飲み干す。
(夫にお酒の問題の事を相談しなくては)
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