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再婚を考えている女性と遊園地に来た。
妻とは10年前に死別した。
娘も応援してくれている。
今日は勝負なのだ。
かなえさんとは、娘に勧められて行った婚活パーティーで知り合った。
今日で、3回目のデートだ。
私はこの遊園地を知り尽くしている。
なぜなら、死んだ妻と散々来たのだ。
今日は勝負なのですよ。
ジェットコースターも、観覧車も、回転木馬も、余興でしかすぎない。
ここは、お化け屋敷がめっぽう怖いのだ。
噂では、本物の幽霊も何体か混ざっているらしい。
「次はこれに入りましょう。」
私が誘うと、かなえはあからさまに嫌な顔をした。
「私、怖いのが苦手で。」
それでこそ誘いがいがある。
「何。頼もしい私と一緒なら、幽霊もお友達ですばい。」
「は、はぁ・・・」
いろんな意味で引きつっているかなえを、無理やりお化け屋敷に連れ込んだ。
「ひゅ~、どろどろ~。」
血だらけの包帯男が出てくると、かなえは悲鳴をあげ、私にしがみついた。
「うひょひょ~、ええのぅ~!」
私は、歓声をあげる。
私は、妻と何回もこのお化け屋敷に来ている。
中を知り尽くしているので怖くもなんともないのだ。
「きゃ~っ!!」
「むほほ、そんなに怖がって、どうしたばい?どうしたばい?」
「あ、あ、あのお化け。本当に偽者ですか?」
「ん?」
見たことないお化けがいる...柳の木の下。
暗闇の中で出刃包丁を持ち、恨めしそうな顔でこちらを見ている・・・。
「ギョ、ギョ、ギョェェェェェ~~~~ッ!!!!」
それは死んだ妻だった。
「ほ、本物なのね?た、助けて!!」
かなえが痛いくらい私にしがみつく。
「か、かなえさん!だだだだ大丈夫ですばい!幽霊ちゃんは僕のお、お友達どす!」
「誰がお友達だって?」
しがみついていたのは、かなえではなかった。
死んだ妻が、ケケケと笑いながら上目使いに私を見ていた。
「ズット、トナリニイルワヨ!」
「ギョ、ギョ、ギョェェェェェ~~~~ッ!!!!」
そのまま私は気絶した。
あの遊園地、やっぱり出るんですって。
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