8人が本棚に入れています
本棚に追加
嫌な風──?
いやいや。
「そんなこともないですよぉ。尊い犠牲です」
「え?」
「何でもないです!」
思わずにひっと笑ってしまう。手の中のミルクティーも嬉しそうだ。
「───……」
先生は、少々面食らったようにあたしを見た後──。
「……お……落ち込んでないなら、何よりです……」
若干赤らめた顔を隠すようにして、眼鏡を上げた。
今は、先生のとなりで雨宿り。
くすぐったい風のお手柄に、心の中で「ありがとう」と呟いた──
傘の藍より遥かに青い、春嵐の誉れ。
【end】
最初のコメントを投稿しよう!