十三年後のマイバウム2

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「ちょっと思い入れがある大事な傘だから、壊れても直して使うの」 「そうなんですか?」  そんなに驚く? と言いたくなるような彼女の表情に苦笑いしてしまう。でも確かに、今時傘を直してまで使う人、あまりいないものね。  柄に彫り込まれたオールドイングリッシュ書体のイニシャルと思しき二つの英字を眺めるわたしに、彼女は不思議そうに首を傾げていた。
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