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「アオ君は、明日も朝から仕事だからね。いつもなら平日の夜はあまり来ないんだよ。もし来たとしても長居はしない」
コースターの裏に書かれた男らしい大きな文字を見つめて固まるわたしに店長サンの言葉は何となくしか入って来なかった。
これは、連絡して、という意味? 胸が、ドキドキと鳴ったまま治まらない。手が震えそうだった。
「咲希ちゃん」
改めて名前を呼んだ店長サンの声にわたしは顔を上げた。店長サンは、ちょっと神妙な表情で言葉を継いだ。
「こんなご時世だから変な男には気を付けなければいけないけれど、アオ君の身元は僕が保障するよ。ちゃんと働いている社会人だよ。でも、アオ君は、すごくモテるんだ。だから――」
店長サン、そこでちょっと言い難そうに言葉を切った。店長サンは、わたしの恋路をすごく心配してくれている。それには大きな訳がある。
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