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「それはない」
顔を見合わせたわたし達は、一瞬の間を置いて笑い合った。
今日はわたし、どうしてここにいるんだっけ。ああ、そうだ、あんなショックな事があったのに。どうしてこんなに笑えるんだろ。
アオ君がふっと笑うのを止めた。
「あのさ」とおもむろに切り出す。
アオ君の不意に見せる真剣な眼差しにはドキッとさせられる。
「なに?」
わたしは胸に感じた微かな動揺を隠して続きを促した。
「いや、なにか嫌な事があった時の発散方法って人それぞれなんだろうけど、アンタはピアノを弾く事で発散したりはしねーのかな、って思ったんだ。人ってのは、嫌な事を忘れる為には好きな事をするのが一番手っ取り早いような気がするからさ」
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