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え? え? 何がなんだかわからないまま、わたしはバットを構えた。背後に立ったアオ君がバットの先、向きを調節してくれた。
「今だ、振れ!」
言われるがままに、振り切る。さっきとは明らかに違う快音が響き、ヒット性の当たりで打球が伸びた。
「わあっ」
「休むなって、次! 今やったの忘れるな」
嬉しくてアオ君を見ると、アオ君は前を見ろ、と手でジェスチャーをする。次も、快音だった。
気持ちいい――! とバットを振るわたしに、アオ君が言う。
「もうあと拳一個分くらい下を持つともっと打球が伸びるんだけどな」
もう少し、下? グリップを見た時、わたしの脳裏に懐かしい声が蘇った。
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