海のものとも山のものとも

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 肘に湿布を貼り、その上からサポーターをしてビアホールに出勤。それが今夜のわたしのスタイルとなった。  ノンスリーブはまずかった。店長サンはわたしの肘のサポーターに真っ先に目を向けた。 「なんだ咲希ちゃん。どうしたその肘は」  カウンターの中からこちらを心配そうに見詰めていた店長サンに、わたしはすまない気持ちで一杯になった。 「すみません、実は――」  何のことはない、昨夜のアオ君とのボーリングではしゃぎ過ぎたのだ。  あの後、一度スペアとストライクを出したアオ君はコツを掴んだのか見る間に上達した。そうなると、男の人はパワーがあるから強い。ゲームは自ずと盛り上がって、わたしも本気でムキになってしまった。
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