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ピアノ弾きに取って大事なのは指だけど、その次に大事なのは肘だ。肘を壊したら、指が無事でも思うように弾けなくなる。だから、ボーリングは好きだけどやってもせいぜい二ゲームくらいまで我慢する。それが昨夜は、何ゲームやったっけ?
どんな時もピアノ優先、ピアノの事だけ考えて生きてきたわたしが、アオ君のペースに完全に呑まれていた。
「……実はアオ君とボーリングに行きまして、ちょっとはしゃぎ過ぎた結果です」
正直に言うか迷ったけれど店長サンにはアオ君の事ちゃんと話さなきゃいけない気がした。
店長サンは、「へぇ?」と眉を上げてわたしを見た。
「咲希ちゃん、アオ君に連絡したのか!」
いやいやいや。わたしは慌てて手を振り、首を振った。説明が足りなかった。
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