海のものとも山のものとも

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 話しながら思い出してしまったのだ。昨日のバッティングセンターにまでに至った経緯を。何故一人でそんなところにいったかを店長サンに話す気にはなれなかったからこれ以上の弁解はやめた。  何故か満足そうな表情を浮かべてカウンター内の開店準備を再開した店長サンはサーバーにタンクをセットしながら話し始めた。 「まあ、アオ君が咲希ちゃんを気に入ってる事は確かなんだよ。それに、いつもピアノ第一に考える咲希ちゃんがそんなになるまで盛り上がるとは。アオ君の事ちゃんと考えてみてもいいかもなぁ。今回の件に関してはその先に進むかどうかはもう二人の問題だしな」  店長サン、カウンターの中で腕を組んでウンウンと一人納得して頷いていた。その姿を見てわたしは苦笑いしてしまう。 「生憎、まだ海のものとも山のものともなってません」  店長サンは一瞬目を丸くしたけれど直ぐにハハハと笑い出した。
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