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公園の中とはいえ、日曜日で人は多い。わたしは慌てて道の隅に移動した。ちょうどいいところに空いているベンチを見つけ、そこに座った。
「泣いてる?」
「ないてない」
駄目だ、完全に涙声だ。わたしは、涙が引っ込むまで声を出すまいと唇を引き結んだ。嗚咽が漏れ聞こえないよう口も塞いだ。
電話を挟んで流れる暫しの沈黙の中でアオ君が小さく息を吐いた気配が伝わってきた。
「あのさ」と、アオ君が切り出した。
「今日はちょっと付き合って欲しいとこがあって電話したんだ」
「付き合って欲しいところ?」
まだ声から震える感が抜けなかったけど聞いた。アオ君はクスッと笑って「そう」と答える。
「ちょっと騒がしい場所だけどさ。盛り上がれば楽しいところだ」
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