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リュックを背負った女子高生が慌ててぶつかった相手に謝ろうとするが、目の前の女子高生を見て言葉が喉に詰まってしまう、彼女の震えた表情、まるで何かから身を守ろうとして両手で頭を守っている。
その震えている女子高生は小さな声で「ごめんなさい・・・・・ごめんなさい・・・・・」と言い続けていた、その姿を見た周りの主婦達はどうしたらいいかわからずに戸惑っていた。
しかしリュックを背負った女子高生は、目の前で震えている彼女の肩に手を乗せて、優しい口調で言う。
「ごめんなさい、怪我はありませんか?」
その声で我に帰った女子高生は、自分の肩に柔らかい手が乗っている事に気づき、優しい声が聞こえる目の前を見た、そこには彼女と同い年ぐらいの女性がいた。
咄嗟にその女子高生は慌てて立とうとするが、手に鋭い痛みを感じたのか苦い顔をして両手を見た、手のひらのあちこちが血で滲んでいる。
それを見た優しい声の女子高生はポケットからハンカチを取り出して怪我をしている彼女の手を拭く、薄い緑色の生地に花の模様が刺繍されているハンカチだった、花の刺繍は彼女の手作りを思わせる。
「お家はこの辺りの近くですか、私が貴女の鞄を持って家までお連れしますよ?」
「・・・・・・・・・・。
えっと・・・実は・・・・・。」
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