第二章 招待

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チョウは思わず「わぁ・・・・・」と感動した声を出してしまう、小さいがちゃんと手入れされている庭には金魚か鯉の様な魚の姿が見える、そして立派で美しい木が堂々と佇んでいる、木の下には「枝垂れ桜」と彫られた看板があり、名前の下には植えられた日にちも彫られている。 キセキは「手当てしますね」と言って先に座布団の上に座り救急箱を開ける、中には包帯や絆創膏などがびっしりと入っていた、よほど几帳面なのかキッチリと綺麗に整頓されていた。 その声に上の空になっていたチョウは慌ててキセキの向かい合わせの座布団に座る、この家に来る前にキセキが公園でハンカチを水道の水で濡らして、手についている砂や汚れを取っておいたおかげで、傷は化膿していない。 キセキは手早く処置を済ませ、チョウはキセキからもらったハンカチを手に取りながら彼女の顔を見た、恐らくこのまま返すのは不躾だと思ったのだろう。 「あの・・・・・。  このハンカチ、私の家で洗ってから返します。」 「ん?  あぁ、別にこのまま返してもらってもいいよ、私のお節介だからさ。」 「いえいえ、むしろぶつかってしまった原因は私だったんですから、こんなに親切にしてもらっ て申し訳ないです・・・。」 お手伝いさんはキセキがチョウの手を処置している間に茶菓子とお茶を持って来た、氷の入っている緑茶だ、先程まで全力疾走して喉が渇いていたチョウはすぐにコップを掴んでゴクゴクと飲む。     
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