第二章 招待

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口から溢れそうなくらい夢中で飲むチョウを見たお手伝いさんは「おかわりもありますよ」と言う、その言葉に顔が真っ赤になったチョウは静かに空になったコップを机に置く。 「ねぇ、チョウ。  答えたくなかったら答えなくてもいいんだけど・・・・・。  貴方、一体何に【追われていたの】?」 そのキセキの言葉にチョウは驚く、何故ならチョウはただ単に「急いでいた」わけではなく「追われていた」とキセキには分かったからだ。 もしかしたらキセキはチョウに複雑な事情があると察したからわざわざ家まで招き入れたのかもしれない、チョウはそう思った、しかしそれでも助けられた事自体彼女は嬉しかった。 チョウの家にも一応救急箱はあるが、傷の知識や処置の方法に関してはチョウは素人だ、先ほどのキセキの様に手早く絆創膏を貼れないし、貼ろうとしてモタモタして余計手を痛める可能性がある。 何よりチョウが嬉しかったのは、見ず知らずの人を家まで招待してこんなにも親切にしてくれたからだ、複雑な事情で雁字搦めにされていたチョウの心が少しずつ暖かくなった。 そして同時にチョウは思った、この人に事情を話せば解決の糸口が何か見つかるかもしれない、突飛で軽率な発想だが、チョウにとっては一刻も早くこの問題を解決したかったからだ。     
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