キッチン1

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 アオ君の腕の中でわたしは目を閉じた。 〝ごめんなさい〟を言うのはわたし。わたしも言えない秘密を持っている。いつ言えばいいのか分からない秘密を。  優しいキスを受けながらわたしは伸ばした手でアオ君を抱きしめた。こんなにも込み上げる愛情を知ったのは、いつくらいぶりだろう。  あなたを失いたくない。失いたくないからすます言えなくなる悪循環。それが怖い。どうしたらいいの。  もう一度、キスを、と唇が軽く触れ合った時、アオ君が鼻をクンと鳴らした。 「焦げ臭くないか」  こげ、くさい?  頭の中に投げ込まれたワードが蕩けて麻痺していた脳を一気に稼働させた。 「しまった!」
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