キッチン1

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 料理の前に、とわたしは放りっぱなしになっていた救急箱を開けて、アオ君の手の処置をした。  アオ君の左手は、ちょっと赤く腫れていたけれどそれほどひどい状態ではなかった。 「だから心配いらないって。二、三日痺れが残ると思うけど大丈夫なんだよ」 「そうだね〝あんなこと〟出来るくらいだから」 〝あんなこと〟  言ってしまってから、ボッと火が点いたみたいに顔が熱くなった。アオ君がクックと笑い出す。 「サキさん、かわいー」 「からかわないで!」  恥ずかしさを必死にごまかすわたしにアオ君は「はいはい」と言って、額にキスをしてくれた。  唇の感触に、力が抜けてしまう。アオ君の手を持ったまま、唇を重ね、少し長めのキスをした。
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