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料理の前に、とわたしは放りっぱなしになっていた救急箱を開けて、アオ君の手の処置をした。
アオ君の左手は、ちょっと赤く腫れていたけれどそれほどひどい状態ではなかった。
「だから心配いらないって。二、三日痺れが残ると思うけど大丈夫なんだよ」
「そうだね〝あんなこと〟出来るくらいだから」
〝あんなこと〟
言ってしまってから、ボッと火が点いたみたいに顔が熱くなった。アオ君がクックと笑い出す。
「サキさん、かわいー」
「からかわないで!」
恥ずかしさを必死にごまかすわたしにアオ君は「はいはい」と言って、額にキスをしてくれた。
唇の感触に、力が抜けてしまう。アオ君の手を持ったまま、唇を重ね、少し長めのキスをした。
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