アオ君の正体1

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 意味が分からない。何故突然?  苗穂のK病院、というのは知ってる。大きな総合病院だ。そこで看護師をしている、とわたしに言い放つ事になんの意味が?  キョトンとしてしまったわたしに佐藤さんは怪訝な顔をした。 「K病院、と聞いてピンと来ないの?」  ますます分からない。それに、そちらがタメ口ならわたしだって敬語を使う必要はない。 「どうして? わたし、そこの病院には何の縁もないわ」  きっぱりと言ったわたしに佐藤さんは、クックと笑い出した。 「なんだ、じゃあ碧、アナタに何も話してないんだ」  アオ? アオって言った? 目を丸くしたわたしに、佐藤さんの眼は敵意から一転、優位に立った余裕の眼に変わった。
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