10/18
前へ
/39ページ
次へ
「は、話が、何万光年も先にすっ飛んでませんか・・・。プロ志向は薄々分かってましたけど、こんな、私じゃあ・・・こないだ初めてボーカルの位置に立って大失敗してきたとこですよ?」 「あれを大失敗にするかしないかは、自分次第でしょう。バンドマンは全員、失敗からスタートしてます」 「いやそりゃそうでしょうけど・・・」 絶句する彼女の表情も仕草も どことなく愛らしい。 首をかしげて眉間に力を込め、 右手でこめかみ辺りを押さえている。 「すぐに答えは出ませんよね。簡単な事を言ってるつもりはありません。愛がなきゃセックスもないでしょうし」 「・・・なくても可能っちゃ可能です」 「男には不可能なんですよ・・・」 「・・・・・・?」 自覚がないのが困ったものだが この人はかわいい。 6つも年下の俺すら そう思ってしまうのに 10才も年上だという旦那さんが 彼女を手放す訳がない。 多分俺は・・・負ける。 書類一枚で成り立っている 単なる制度に。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加