11/18
前へ
/39ページ
次へ
そこへ壁をそっとノックされ 店員がオーダーを運んできた。 彼女はフルーツがたくさん飾られた クレープのプレート。 俺はチョコレートパフェ。 絵のように横に広がる世界と 塔のように縦にそびえる世界、 そしてカラフルなフルーツと 漆黒のチョコレートは、 そのまま 俺と彼女の違いであって、 同じなのは、 互いに互いのものも 同様に好きな事。 違うからいけない、 という訳ではないはずだ。 あのクレープのプレートに チョコレートが加われば 最強の一皿が生まれるのと同じこと。 「今は正直、離婚までは無理だと思います。ただ、もし他のメンバーが見つかって動き出した時に、これだ!っていう確信が芽生えたら、我慢できなくなるでしょうね・・・その時は多分、自然と亀裂が入るでしょうけど」 言葉を選びながら 彼女はその矛盾について 独り言のように呟く。 未来を正確に予想しろ、 というのが無理なのは分かっている。 でも、今の俺は 曖昧な答えが嫌だった。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加