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「バンドの始動と同時に妊娠、なんて。俺は耐えられない。十分あり得る話です。ずっと続いてる安定したバンドなら、待つ事もできるでしょうけど」 言葉に刺が見え隠れする。 パフェもクレープも来たままの形で 手を付けるタイミングすら 見えない。 「私は・・・女として欠陥かもしれませんが、子供は欲しくないんです。例えば、バンドに溺れて産める年齢を逃しても、全然構わない」 七瀬さんから笑顔が消えた。 誰にも理解されないという 難解な性格の片鱗が ここに現れた。 「どうしても、目的を急ぎますか。子供なら、薬を飲めばいくらでも回避できますから、それは心配いりません。でも、プロって何ですか・・・商売バンドを目指す訳ですか?今ここにある曲を真摯に作り上げて、それを認められて初めて、先が開けるわけでしょう?まだ途中ですよ?本末転倒です。私にとっては東京なんて後から付いてくるものです。商売バンドをやる位なら、普通にここで主婦のままいます」 目の前に 真実を叩き付けられた気がした。 しまった―――。 「・・・仰る通りです。先を急ぎすぎて失礼な事まで聞いてしまいました・・・あれから俺、ずっと頭がいっぱいになってしまって」 「・・・あの練習の日の事ですか?」 「そうです。帰られてから反響すごかったですよ・・・ただ、遠回りになるって言われました。まだ七瀬さんは完成されていないんです。その成長を待つ時間はない、と」 「あぁ・・・ですよね」
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