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その練習の翌日のライブで。 「あ、拓真君だ」 スーパーロング黒髪の鈴さんが 俺の姿を見た途端に ゆっくりと駆け付けてきた。 「黒川から聞きました。やっと動き出したと思ったら、まさか相手が拓真君だったなんて」 それこそ鈴の鳴るような 特徴的な響きを持つ声で、 鈴さんはダルそうに微笑んだ。 「俺もびっくりしました。特定の友達の事がたまに話に出て来てて、それが鈴さんだったんですよね」 「すごい長い友達で。クロミがいなくなったら私、友達いなくなるって位の。・・・ひょっとしたら私に遠慮してたのかな、ボーカルやるの」 「あぁ、それ、あるかもですね。自分より人を優先させそうな感じしますね」 そこで何となく、 会話が途絶えた。 さて、何を話すべきか。 スムーズに言葉が続かないのは 相手に何の興味も沸かないからだが・・・ 「Richelも2回ほど見てるはずですよ。ドラム激しいから!って勧めてたんですけど」 結局、相手が何か うまく話題を振ってくれて。 それでもやはり会話は続かない。 「ううん・・・Richelについては何も言われてませんね。今度聞いてみます」 きれいな人だな、 という印象は話してみても 変わらなかった。 どことなく七瀬さんと似た 柔らかい物腰を感じられたが、 それだけ。 鈴さんはそのままリハに呼ばれ 俺は軽く頭を下げて その場から去った。
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