6/18
前へ
/39ページ
次へ
一平さんとナル先輩に 昨日強く言われたこと・・・ 『お前の音楽性に合っていない』 七瀬さんは 生音の中では 極端にシャウターだったのだ。 俺の音楽には基本的に 叫び倒して聴き手を奮起させる曲は ないのだ。 激しい心の葛藤や闇をテーマにするのは 共通する部分ではあるが、 本来、 メロディと詞で聴かせる正統派。 シャウト等の飛道具よりは メロディの巧い王道の人が理想なのだ。 それでも俺は七瀬さんに未来を見てしまう。 声量やオーラが今は足りなくても 煽情的な歌声は唯一のものだ。 それを言うと、 一平さんには時間が無さすぎると 渋い顔をされた。 「例えば鈴ちゃん何年やってるか知ってるか?13年だぞ?そんだけやって、やっとステージに足が付いた。今からあの子の成長待ってたら、お前の才能が先に死んじまうよ」 俺はそれから ずっと葛藤している。 音楽性・・・いや、 エネルギーの違い。 そして家庭を持つ彼女と まだ自由な自分。 そもそも俺の才能が 東京に出て認められるか怪しいのに 行き急いで無駄足にならないか。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加