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あなたの大事な家族は、わたしの家族によって失われたの。わたしは、あなたに抱きしめてもらう資格はなくて。
「ごめんなさい、アオ君、わたし何も知らなくて。本当にごめんなさい」
涙が流れて止まらなかった。雨なのか、涙なのか、わたしの双眸は水に覆われ、視界には何も映らない。アオ君の顔も見えなかった。でも、今のわたしは謝ることしかできない。
「ごめんなさい、わたしはアオ君と一緒にはいられない――」
川面のようになった地面にボタボタと落ちる涙は雨粒と同化する。
もう顔を上げられない! 心の中で叫んだ時、地面だけ映っていた視界に濃紺の傘が入り込んだ。次の瞬間。
「俺が、一緒にいるって決めたんだよ!」
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