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「どうして、アオ君が謝るの。謝るのは、わたしでしょう? アオ君が約束守れなかったのなんて、当然でしょう。謝らなければいけないのは、十三年前の事、素知らぬ振りをして生きてきた、わたし!」
言いながら、声が揺れた。
わたしにとって〝青崎〟という名前は決して忘れてはいけない名前だった。それなのに、アオ君の名前を聞いて、何も思い出さなかった。これは〝素知らぬ振り〟をしていたも同然だ。謝らなければいけないけれど、謝って済むことではない。これは、背負うべき罪から目を背けてきた報いだ。
「わたしに、アオ君の傍にいる資格はない――」
言い終わらないうちに、再び強く抱き締められていた。
「言ったろ、俺が、咲希と一緒にいるって決めたんだって。咲希はずっと、俺の傍にいろ」
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