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どうして? どうしてアオ君。
「三年前にマイスターで見つけた咲季も、戻って来てから見た咲季も、今にも崩れてしまいそうな顔をしてた。それを見た時に、肚を決めた。俺は、コイツを守るんだって」
わたしは、わたしは――。
「咲希?」
抱きしめてくれているアオ君を感じたまま、聞こえる声が少し遠くなった。
「咲希、しっかりしろ!」
「……さむい」
「ばか……っ! 咲希、いつからこんな」
芯から震え出した身体を、アオ君が支えてくれた。
大通り公園で搾れるくらいに濡れたジャケットは、教会の方が乾燥機にかけて乾かしてくれたのだけど、中は思っていた以上に濡れて体温を奪っていた。そこに、タクシーを降りてから現在に至る。
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