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わたしの手を握るアオ君の大きな手を見つめながら、聞きたい疑問を呑み込んだ。
「もう寒くないか」
「うん、もう大丈夫。でも離れたらイヤ」
アオ君が吹き出した。
「離れねーよ。俺は、十三年前のあの日に力をくれた咲希の傍にずっといるって決めたんだからさ」
十三年前のあの日に? わたしがアオ君に力を?
「わたしはなにもしてない。力をもらったのはわたしの方――」
言い終わらないうちに、キスで唇を塞がれた。
蕩けてしまいそうな甘さと、微かな痺れをもたらす刺激に溺れそうになりながら、記憶を巻き戻す。
真っ暗闇に放り投げられたようだったわたしに、アオ君の言葉は、地に足を付けてしっかりと歩く力をくれた。あの日の約束が、生きる原動力になっていた。アオ君に会えてなかったら、と考えるとゾッとする。
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