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「僕があのサプライズを強行に決行したのには理由があるんだよ」
「理由?」
「そう。彼、来月転勤が決まったんだって。だから、このまま二人は会わなかったら一生会えないかもしれないな、って思ってね」
早鐘のように打つ鼓動が頭にガンガンと響いてる。
「どこに、って言ってた?」
「ああ、行き先ね。九州だったよ。確か、熊本だったかな」
胸をひと突きされたような感覚を覚えた。まさか、弟の事件が? と震えそうだった。
確かめたい。謝らなきゃ。
でも、わたし達は互いに連絡を取る術を持たない。敢えて持たなかった。
会いに行くどころか、メールすら出来ない。
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