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教育文化会館の楽屋口の前で真紀子さんが待っていてくれた。
「春樹さん、その恰好は!?」
血で汚れてしまった服ではまずいだろうと店長サンが自分の着ていたジャケットを貸してくれたけれど、隠しきれない。明らかに異様な出で立ちだった。
「いえ、今そこで起きた事件に巻き込まれてしまって……」
言葉を濁したわたしに真紀子さんは小さく息を吐いた。
「そう言えば、サイレンがうるさくて何かと思っていたところよ。それでこんなギリギリになったのね。でもあなたは大丈夫なの?怪我はないの?」
「わたしは大丈夫です」と言いながら玲君を想った。
結局、騒ぎを聞きつけて戻ってきた検察事務官の男性が玲君に付き添って救急車に乗って行った。
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