届け、わたしの音1

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 あの時、事件発生時の事情を聞かせて欲しいという刑事さん達が直ぐにわたしのところへ来たのだけど、店長サンが応対してくれた。  オーディションが終われば必ず応じるから、とわたしをあの場から解放してくれた。 『行っておいで、咲季ちゃん。彼のためにも!』  店長サンの言葉に背中を押されてわたしはここにやって来た。 「ギリギリになっちゃってすみません」 「謝らなくていいから、今日辞退するつもりないなら急いで!」 「はい!」  わたしは真紀子さんに促されて中へと入って行った。  真紀子さんは、このオーディションの開催運営スタッフだった。指定の集合時間を過ぎても現れないわたしを心配して楽屋口まで迎えに出てくれていたのだ。
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