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照明を少し落とした病室の中で、玲君は静かに眠っていた。
酸素マスクを付けて目を閉じる玲君の身体は点滴の管と心電図のコードに繋がれていて傷がどれほど深く、重いものだったのか物語っていた。
心電図の画面に表示される波形も電子音も規則正しく落ち着いていて、玲君の容態が安定している事から、少しの間だけ面会――というか、顔を見るだけなのだけど――の許可が下りた。
中に通されたわたしは、玲君のベッドの傍に看護師さんが置いてくれた椅子に座り、玲君の、指の長い大きな手にそっと触れた。
救急車に乗る前、玲君は痛みを堪えてこの手を伸ばし、泣きじゃくるわたしの頬に触れて『大丈夫ですよ』と言ってくれた。
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