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溜息と共に豪快に煙を吐き出し、立ち上がった熊井は窓の外を見て、おや、と声を上げた。
十一丁目のマイバウムのモニュメントの前に立っていた女性にスーツ姿の男性が近づいて行く。女性の方は、男性が近くに来るのを待っているようだ。熊井は、フッと笑う。
「なんだ、俺が心配する事もなかったか」
ドアをノックする音がし、顔を出した秘書が言った。
「先生、お約束してらしたお客様がおみえです」
「おう、今行く!」
熊井は灰皿に煙草を押し付け、デスクの上の書類ファイルを手に取った。
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