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玲君は軽く肩を竦めてフワッとした笑みをこぼした。
「僕は笑ってないよ。ちょっと、怒っている」
わたしが、え? 言っている間に玲君は、長方形のピアノ椅子の右横に座った。
ぴったりと寄り添う形で一つの椅子に二人で座る形になる。
ピアノの鍵盤に手を置いた玲君が静かに言った。
「僕は、ピアノに嫉妬してしまう前に、君とピアノの間に割って入るんだ」
玲君は、右手で音を鳴らし始める。
時計の秒針のような、2音をポン、ポン、と。
あ、これは。
ルロイ・アンダーソンの【シンコペーテッドクロック】連弾バージョン。
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