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クスッと笑ったわたしは玲君が弾き出したプリモパートに乗せてセコンドパートを弾き始めた。
通奏低音的な時計の音に、心がウキウキと弾んできそうな軽快なメロディーが乗っていくこの曲は、どことなく滑稽で、楽しい気分にさせてくれる。
このピアノの連弾バージョンは、わたしと玲君が大事な時を過ごす時に弾く曲になっていた。
ピタリと身体を寄せ合って、大事な人と呼吸を合わせて一つの曲を弾いていく幸せは、なにものにも代えがたい。
白と黒が交互に並ぶ鍵盤の上を、玲君の、指が長くて大きい手がしなやかに踊る。
ドキドキする。
いつもずっと一緒にいるのに。
傍にいて、って言ったらいつだって抱きしめてくれる距離にいる。
でも、やっぱりこんな時はドキドキしてしまう。
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