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向こうがこちらを見つければ必ず駆け寄ってくる。
しかし、今夜は――。
ふうっ、と息を吐いた玲はバス停近くで立ち止まった。
スマホを取り出し、連絡がないかを確認する。
「ないな……」
これはもう、今夜の約束は無しだな。
諦めた玲は顔を上げ、歩き出した。
12月に入り、街はクリスマスムード一色になっていた。
心が浮き立つようなクリスマスソングが流れ、赤と緑に染まるイルミネーションが眩しい。
玲はガード下を抜け、六本木通りに向かう。
その途中、色とりどりの花を通りに出す小さな花屋を見つけた。
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