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「今日、仕事で銀座に行く用があって、その帰りに田崎に寄ったんだ。
クリスマスらしいものを探しにね」
ポインセチアの鉢植えからアクセサリーを手に取った玲君は、わたしの右耳の少し上に当てて微笑んだ。
「似合うよ」
玲君の手に、自分の手を添えた。
真っすぐに見つめられて、ちょっと恥ずかしくなった。
「……ありがと」
許して、玲君。
胸が痺れていっぱいで、それ以上なにも言えないの。
「咲季、泣かないで」
優しい声に言われて初めて気付いた。
涙がこぼれていたことに。
俯くと、ポロポロと赤いポインセチアに涙が落ちた。
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