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「かなしいんじゃないのよ」
掠れた声でやっと言葉にした。
大事な人に理解されて、全てをまとめて抱き込んで想ってもらえる事が、こんなに幸せだなんて。
「咲季」
呼ばれて顔を上げると玲君は、わたしの手から鉢を取って、再び譜面台の横に置いた。
ヘアアクセサリーも一緒に置く。
そして、もう一度優しいキスをしてから玲君はニッコリと微笑んで言った。
「本当は、六本木のいつもの店を予約していたので、ちょっとしたサプライズで贈ろうと思っていました。
でも、反対に僕が驚かされましたね。
別の意味で」
あ、それは……。
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