第二章

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 やっと見つけたその人は、こんなにも優しくて温かい。  抱きついて顔をうずめれば、普段は怒る東子も俺が姉のことで不安定になっていると分かっていて黙って背を撫でてくれた。 「……いつも俺は東子にもらってばかりだ。お礼をしようと思ったのに、またもらってしまった。どうしたら返せるかな。……うん、一生どころか死んでも傍にいて幸せにすればいいよな」 「全部口に出てるわよ。盛大なストーカー発言すんな」 「ていうか先生に聞いて思ったんだけど、東子はあとちょっとで仙人になれるレベルなんだろ? なればいいじゃん、仙女。そうすりゃ不老不死だし、神に準ずるランクにも上がれる」 「あんたちゃんと話聞いてた? あたしはどうやってもテスト合格できないんだってば。それに興味ないし」  えー、嫁が仙女っていいと思うんだけど。響きかっこいい。  まぁいいや、まずはさりげなく力をきちんと発現できる修行させて、こっそりテスト受けさせよう。 「先生といえば、締め切り近いって悲鳴あげてたな。原稿上げないと花見できないと思う」 「よし、それ口実に終わらせなさい。あんたアシスタントでしょ」 「はーい」  でも、もうちょっとこのままでいい?  つい頭全部出して巻きつきゴロゴロ甘えてたら、さすがにうんざりした東子から手刀くらった。
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