おにぎり

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おにぎり

 昼間は街中を徘徊し、夕方に公園に戻ってきた。ちょうど見計らったように、凛花はやってきた。ベンチに座っていた俺の前に立つ。 「こんにちは」  頬の腫れはだいぶ引いたようだ。元気そうな姿にホッとする。 「この間は無事に帰れたんだね」 「うん。それでね。今日はお礼にと思って」  そう言うと、おずおずと銀紙に包まれたものを渡してきた。開くと、不恰好なおにぎりが二つ。  子供でも、俺の状況を分かってるのか。食べ物をあげれば喜ぶってことが。  一瞬情けなくなったが、気を取り直し、笑顔で凛花に言った。 「ありがとう。大事に食べるよ」  凛花はにっこりと笑うと、俺の手からおにぎりを1つ取り、隣に座る。  一緒に食べようってことか。  おにぎりを頬ばる凛花を横目に見ながら、俺もかぶりつく。しょっぱい、けど、今まで食べた何よりも、旨い。  食べ終わると、取り留めのない話をした。俺の住んでいた港町の話や、今まで転々と過ごした色んな場所の話を。  幼い凛花にはどれも物珍らしかったらしく、目を輝かせて聞いている。  それが嬉しかった。 「ちょっと」  咎めるような声がした。いつの間にか知らないおばさんが立っていた。     
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