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いつか、君へお返しを
凛花の父親の死体は、死因が分からず突然死で処理され、新聞に小さく載ったようだ。噂によると、脳が溶けたような状態だった、とか。
その後、俺は役所やボランティアの方々の力を借りて社会復帰をすることが出来た。今は住み込みの工場で働いている。小さな親子経営の会社だが、幸い皆良い人だ。
あれから、街中で一度だけ凛花を見た。
無事だったのかと心底ホッとした。
声をかけたい衝動を抑えて、祖父母らしき人と幸せそうに歩いている様子を遠くから見た。
いつか、君に胸を張って会える日が来ることを信じて、働いている。
今の俺があるのは、君のおかげだから。
いつかきっと。
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