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「いつでも受けてたつ。負ける準備ができたら言え」
こんなふうに普通に話せばいいんだろうか。昔はどうやって話してたんだろう?逢えないでいた年月が疵を深めてしまったのか、それとも、あのことがきっかけで拗れてしまったのか。骨折で不自由だったのを言い訳にして、アランなら分かってくれるはず。勝手に判断して無理を通してでも逢いに行かなかったのが、アランがカイルを覚えていない原因なのか。
怒る顔も、笑う顔も、拗ねる顔も、記憶の中と一緒なのに、同じではないのはなぜか。
カイルの視線に気付き、気まずそうに逸らされる視線に、胃が重くなる。
たった一つの気懸かり、アランのことにしたって始まったばかりで、短いけれども時間はまだまだ残されていた。
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