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「いやー、君達。駄目だね。全然、ダメダメだ。なってないよ。全く、自由研究を舐めている」
いかにも低レベルな争いに呆れている、といった様子で、甲賀が口を挟んでくる。
ちなみにこの甲賀、八郎太の双子の兄のくせに、見た目どころか性格すら全く似てないものだから、真面目さもマメさもない。なのでこうは言っているものの、小学生の時に自由研究を一度もしていない。
「やっぱり時代は、発掘だろ!これからは考古学者が幅を利かせていくんだぜ」
「……これまた珍しいことを言い出したもんだ。今度は何の影響だ?」
八郎太の知っている甲賀は、発掘のような細かいことをするような男ではない。
そして、新しいものといえばすぐ飛びつくような、ミーハーな男だ。家には甲賀が興味を持って買ったり作ってはみたものの、すぐに飽きて放置されているものがたくさんある。
「今朝ニュースで見たんだけどなー」
と、チャットアプリ付属のニュースを見せてくる。
スマホを持っていたのか、と八郎太は驚いていた。基本、スマホを学校に持ってくる場合は、先生に預けねばならない。だが甲賀は忘れていたのか単純に預けたくなかっただけなのか、先生に渡していた様子はなかった。
初めて出すのを見るのが、放課後であって良かったと切に思う。でなくば親に報告されて、親からお叱りを受けるところであった。
芸能人のゴシップやら、海外との折衝問題などのニュースに紛れて、地元の住所に近い地域のニュースが載っていた。
砂漠帯に謎の遺跡が出現したというニュースだった。まるで何百年も前から存在したかのような朽ちようが不思議さを出していた。
タイトルやら文面やら、そしてページの最後に表示されているSNSの呟きの引用やらを見ていても、UFO登場だったり、宇宙人の話題だったりに似た雰囲気を感じる。
「何でも、砂川に謎の遺跡が登場したらしいぞ。最初は考古学者やら専門の探検隊、もしくはメディア限定の公開とされてたらしいけど、この謎の遺跡のある土地を持ってる地主が、金儲けの一環として一般公開を始めたらしい。お値段は1人500円だそうな」
「でもそれって、何も見つからなかったから、せめて一般人からでも取らないと利益が出ないってことで公開されたんじゃねえのか?ってことは行っても仕方ないんじゃあ……」
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