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ーーー二人で。
智也は、気軽にそういう事を言う。出会ってすぐの頃は、かなり誤解していた。特別な意味を持つ誘い文句かと思っていた。
「沖縄料理? イイね。行きたい。泡盛飲みたい!」
はしゃいでいた。特別なお誘いでなくても構わない。
ーーー智也に会えるなら、私はいつでも嬉しい。
「マジ? 良かった。いつもありがとな、玲子」
電話の向こうの智也の笑顔に繋がっている。そう思うと、嬉しくてたまらなかった。
「そういえば、玲子。この前貸したDVD見たか?」
「うん。もちろん、見たよ」
ヒールを脱いで、部屋に入る。エアコンのスイッチを入れてソファに座った。
コートを着たまま、智也と話す。他愛のない話が楽しいと感じる。
ーーー智也、私は貴方の友人のままでいい。こうして、ちょくちょく話したい。
たまに会って顔が見れれば。
玲子は、智也との電話が永遠に続けばいいのにと願った。
智也との会話は、つきる事が無かった。お互いに好きな映画の話。盛り上がり、声を立てて笑える。
ーーー智也。
私は、貴方が好きなの。
気持ちを隠し続けてきた。隠すことに慣れてしまった。
「じゃあ、そろそろ切るよ。ごめんな、長々と」
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