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ーーー物事には、終わりがある。わかっていても切なかった。
「ううん、全然大丈夫」
「玲子と話してると、すごく楽しいからさ、つい時間忘れるんだよ」
玲子は、またスマホをぎゅうっと握りしめた。
「あーーーあ、玲子に会いたい。会ってさ一晩中、飲みながら語りたいよなぁー」
智也の何気ない言葉に心がすぐに反応する。小さな事でも反応するのに、嬉し過ぎる事を連発する智也は、罪作りだ。
それでも……
ーーー私は智也が好きだ。
「じゃあ、週末は久々に一晩中語る?」
「お、イイね。沖縄料理食べたら、カラオケに行って、そのあとはーーどっちかの家で家飲みするか」
ーーー家飲みも何度もしている。怪しい雰囲気になった事は一度もなかった。楽しい家飲み。それだけ。そんなのは、もちろん智也だけの話。私は……いつだって意識していた。しないでいるのは無理だった。
二人きりの空間。ポテチを掴む時に触れた指先。智也と肩が触れ合う瞬間。軽い智也からのスキンシップ。
腕が触れ、肩が触れ、髪が触れ、頬に指先が触れる。
智也の爽やかな香りが、ふっと香り玲子は、思わず夢が叶ったのかと錯覚する。
今まで、ずっとそばに居た。気持ちを隠して友人として。でも……
もしかしたら、こういう関係にも終わりが来るのかもしれない。
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