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平穏無事に過ぎていく事が、あまりに当たり前だった毎日。
ーーー西に出会ってから、追いかけられて逃げたりして…。すり傷程度で済んだのが奇蹟だ。
玲子は、バイトの子に仕事を振り分けてから逃げた時に何処かで引っ掛けた脚の傷を眺めた。
ーーー傷、大丈夫だったんだろうか。
西の腕の切られた場面を思い出して、玲子は身震いした。
ーーー絶対に関わらない。きちんとさせないと……。
カードの申し込み用紙を束ね直していると、山崎から声がかかった。
「鹿島さん、下の受け付けにお客様が来てるらしいですよ」
「あ、はい。ありがとうございます」
周りの人に断り、玲子は下へ向かった。
受付に行くと、小柄な受付嬢に
「あちらのカフェでお待ちになるとおっしゃってました」
と、言われた。
「あの名前は?」
「あ、失礼しました。……西様です」
ニッコリと微笑む受付嬢。
ーーー西? どうして会社に来るの?
急ぎ足で玲子は、ビル内のオープンカフェへ向かった。
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