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思わせぶりな態度
「ひとまず、このお姉さんを家に送ってくれ」
西の言葉に運転席の男が
「はい、わかりました」と返事をした。
「わかりましたって、あの人、私の家知ってるの?」
「ああ、俺に近づく奴の事は全て把握してる」
当たり前のように言う西。
「そ、それと、あの人だけど……」
西に少し近寄り助手席の男を目で追い小声で話す玲子。
「あ?」
「怪しい人、逃げたでしょ。さっき…
あの人に似てるんだけど」
「そりゃ似てるだろ。さっきの奴らはこいつらだから」
西は、呆れたように答えた。
西がタバコを取り出すと、助手席からヌッと手が出てきて助手席の男がライターを差し出し火をつけた。
「さっきの人? え、同一人物、仲間なのに逃げたの?」
タバコをふかして、窓を細く開け煙を外へ吐く西。
「ああ」
「どうして?」
「お姉さんと二人きりになりたかったから。護衛無しでね」
じっと、西が玲子を見つめる。切れ長な瞳が玲子に静かにそそがれていた。
「勘弁して下さいよ。若になんかあったら…」
助手席の男が話に入って来た。
「縁起悪いな。鉄。俺はやられねぇ」
西の視線が玲子から動いて前方へ向いた。
ーーー西は、何を考えてるんだろぅ。本気なんだろうか。
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