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カンカン!!
けたたましい鐘の音が響いたその音を聞いて二人は路上から出てお互い反対方向に駆け出していった。そして町の四方にある櫓(やぐら)から青白い光が出て町を覆っていった
(・・・・ん?何か変?結界にほころびが・・・)
「失礼します!」
「どうぞ」
襖(ふすま)を開けて中居のすずが部屋に入って来た、鐘の音はまだ続いている。
「妖魔が出ました、庄子(しょうじ)を閉めて外には出ないようお願いいたします。」
「しかしお雪さんもこんな時期にこの町に来るなんて...」
と、どっしりと座り込んだ中居であった。
お雪がこの町に来たのが7日ほど前、日本髪を結った芸者風の旅装束でもないお雪を訝しげに見たが、一ヶ月滞在したいとポンと前金で部屋代を払うと喜んで受け入れてくれた。2階の見渡しの良い部屋で広めの部屋を希望した。
「こんな田舎町にお雪さんの様な可憐な方がおひとりでいらっしゃるなんて、白神無月に入って妖魔が出るのに危険ですよ~」
すずは、良いのか?と思うほどおしゃべりだった。旅館同士の仲違いもすずに聞いたのだった。
「ほんとうちの旦那様と向こうの旦那はすこぶる仲悪いいですよ~」
「老舗藤枝亭」と「元祖藤枝亭」
「元は隣町の藤枝旅館ののれん分けで元は2号館と3号館だったらしいですよ~」
お茶を入れながらすずはのんびりと言った
「それと先代はそんなに仲悪くなかたって聞いてます~」
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