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白神無月:各地域に点在する妖魔の主(ぬし)がこの月になると必ず聖域に集合して地域に統べる者が居なくなる時期、これ幸いと下級妖魔が人間をさらったり襲ったりやりたい放題になる時期である.
20年前に田舎だったこの町にも結界の櫓が建ち、それまでこの時期に被害が酷かったものが町の中に居れば安全になった。
それが今回、お雪の見た所結界にほころびが感じ取れていた。
ばたばたば!
「?何事でしょう・・・・見てきます。」
玄関先が騒がしく人の出入りが激しくなっていた。
「・・・・・」
お雪もゆっくりと部屋を出て階段上で様子を窺った。
『どうゆうことだ!』
『結界を通り抜けて飛んできたようです・・・・』
『通り抜けたとはどうゆうことだ!』
この宿の主人が下男に怒鳴り散らしている。
『何故今更こんなものが』
主人の持っているのは文(ふみ)が括ってある、
白い羽の付いた矢だった
恐る恐る文を開く主人、
文を見た主人の手が、
わなわなと手が震えている
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