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『旦那様、何が書いて有るのですか?』 下男が主人をのぞき込む 『生贄だと、さよを!どうして結界が破られたのか』 考え込む主人、文(ふみ)をぐしゃぐしゃに破り捨てて 『何も無かった、何も見なかったいいな!』 周りにいた下男、中居に言含めるように叫んだ ここ20年来なかった白羽の矢、 若い下男や中居達はその意味を知るものは少なかった。 宿屋の主人は自分に言い聞かせていた (結界がある、妖魔は入って来れないはずだ、 誰かのイタズラじゃ無いのか? 外から矢が飛んで来た?そんな訳が無い、 我が宿屋は街の中心近くにあるんだし期限は2週間後 それを過ぎれば主(ぬし)が帰還されるそれまでだ) 脳内で逃げ口実を繰り広げる主人だった
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