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「こんなに歩いたの、久し振り。ねぇ、歩き回ってたら腹減らね?」
さっき老人からお菓子を戴いたカイルはあまりお腹が空いてなかったが、船を操縦し、昼食も食べず街中をうろついていたアランは限界のようだ。
「俺はさっき食べたから、あんま腹減ってない。お茶くらいなら」
「うっそ?!ちょっとのお菓子つまんだだけで昼飯食ってねぇんだぞ、腹減るだろ、普通」
と言われても、本当に空腹を感じてないんだから仕方が無い。
「ほら」
人混みにまた飲まれそうになったカイルに、手を伸ばしてきた。
もう大丈夫なのに……掴んでいいのか困り、じっと見つめていたカイルの手を握り、手を繋いで歩き出す。
「この近くに美味いレストランがあるんだ。食ってこうぜ」
「だから、俺、腹減ってないって……っ」
この会話。この状況。酷く既視感があった。
以前にも同じ会話をした。
あれは、アランが初めてカイルに話し掛けてきたとき。
「いいから。一回食ってみ?一回食ったら分かるって」
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