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「だよなぁ、じゃあ……」
言いかけたサイネスを押し退け、
「アランとカイルが行け。ほら、こいつらは盗品換金する場所知んねぇし、俺とサイネスは掃除が残ってるし、ってなるとアランしかいねぇだろ?で、利き腕治ってなくて文字書き辛ぇだろうし、授業やり難いよな。ってなるとカイルになんじゃん」
決まり!と勝手に決めて、二人を押し出したセージの勢いに驚いていたサイネスだったが、すぐに「ああ…」という表情をした。
「今すぐ?」
「善は急げって言うだろ」
「今じゃなくてもよくない?」
「ぐだぐだ言ってねぇで行く!お前さ、俺らの船長なんだから。カイル見てみろ、全然文句言ってねぇぞ」
ただ単に驚いて何も言えなくなっていただけで、肩の痛みも大分引いたのだが、ローランドやフェリスほど教えるのが上手くないカイルが行くのがいいだろう。
「簡単なのでいいから」
ひらひら手を振るローランドに頷く。
「あーっ、もう分かった!分かったよ、俺が行きゃあいいんだろ」
「最初っから、お前が行けって言ってんだよ」
何を今更……と呆れられて、ムッと口を尖らせ、歩き出したアランの後ろをこんなふうなことが前にもあったな、と苦く思い出しながら慌ててついて行った。
「船」
「え?」
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